「したいとか、考えない?」。いきなり手を握られて、心臓が苦しくなった。彼の顔が近づいてきて、とっさに目を閉じた――。高校1年生の凛子は薬局の娘。同級生で近所の古本屋の息子・翔一と付き合っている。毎日顔を合わせてはいるものの、お互いに店の手伝いで忙しく出かける時間はない。閉店後に古本屋の二階の部屋で過ごす時間が唯一の2人の時間だった。だが、同学年のカップルが凛子の店でコンドームを買ったことをきっかけに”その先”を意識するようになり…。「えびす家通り商店街」を舞台にさまざまな恋模様を優しく描き出す連作シリーズ第3弾。気持ちを確認し合いながら大人の階段を昇ろうとする2人の姿にキュン!